墨はどこで作っている?〜墨の基礎知識②〜
墨の生産地について
墨の生産地についてご存知であろうか。書道をやる方でも固形墨を使わず墨液しか使わない方が多くなった現在ではどこで作られているかなど関心を持たないのかもしれない。筆者としては非常に残念である。
墨は紙や筆と違い産地が全国に散らばっておらず、奈良県奈良市と三重県鈴鹿市がほとんどで和歌山県田辺市で松煙墨が復活している。奈良県の「奈良墨」が国内シェアの約9割を占めており、三重県鈴鹿市の「鈴鹿墨」和歌山県田辺市の「紀州松煙墨」がこれに続く。

現在9割を占める「奈良墨」だが、仏教文化における写経や都が置かれたこともあり飛鳥・奈良時代に歴史は遡る。江戸幕府直轄領だった奈良は約30軒墨屋が存在(1670年)。幕末には11軒に減少するも明治維新により学校数の増加により37軒に回復。しかしながら墨液の登場により固形墨の需要は大きく減少。(中川政七商店HPより)奈良製墨組合によると平成25年現在10軒の組合員がいる。
鈴鹿墨については鈴鹿製墨協同組合を検索すると(有)進誠堂(株)亀游庵が出てくるのでここの1軒のみなのであろう。延暦年間(782〜806年)鈴鹿の山から採れた松やにを煤を取り墨を作り始めた由緒ある生産地で1軒のみなのは残念である。令和天皇即位の献上品に三重県より「鈴鹿墨」(すずかずみ)が献上された。(宮内庁HP)
「紀州松煙墨」は静岡県出身の堀池雅夫氏が1990年頃復活させており、日本で唯一の松煙墨職人と貴重な存在だ。墨工房紀州松煙のサイトがある。味のある墨画も販売しており、ぜひみていただく価値があると思う。
唐墨の産地について
日本の墨は「和墨」と言われれるのに対して中国製の墨は「唐墨」と言われる。有名な唐墨に油煙墨では「鉄斎翁書画宝墨」(てっさいおうしょがほうぼく)や「大好山水」(たいこうさんずい)、松煙墨では「黄山松煙」(こうざんしょうえん)などがある。
清時代、乾隆以降の墨は曹素功(そうそこう)・汪近聖(おうきんせい)・汪節庵(おうせつあん)・胡開文(こかいぶん)が四大メーカーとして知られている。これらは徽州(きしゅう)にあり「徽墨」(きぼく)と呼ばれた。現在の安徽省(あんきしょう)の歙県(きゅうけん)(黄山付近)で、松煙墨は黄山に生えている松を使ったと言われている。今でも続いているのが老胡開文と、上海に移った上海墨廠(しゃんはいぼくしょう)の曹素功である。
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