筆とは?〜筆の基礎知識〜 | 文房四宝 雲岑堂

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筆とは?〜筆の基礎知識〜

筆とは?

皆さんは「筆」の字の字源について知っているであろうか?あるいは疑問を持ったことがあるだろうか。筆者も字源については知識を持ち合わせていないが、疑問に思ったので今回取り上げてみたい。「筆という字が草書になると草冠になるのはなぜなのか」が筆者の場合の出発点である。

説文まず例によって白川静の『字統』の「筆」の項を引いてみる。会意文字で竹と聿(いつ)に従う、とある。聿は筆を手にもつ形。『説文解字』に「秦、これを筆と謂う。聿に従い、竹に従う」とあり、楚では聿、呉・蜀では不律、燕では弗というなど方言によってそれぞれ異なる。とあった。いずれにしても聿が筆の字の原字で、筆の軸となる竹を組み合わせて今の筆になったということだ。

紙: 伊予書道半紙 書道一番  筆:豊橋筆 伝統工芸士 川合福瑞作 兼毫5号 墨液:祥碩堂 墨液 良寛 中濃墨
紙: 伊予書道半紙 書道一番  筆:豊橋筆 伝統工芸士 川合福瑞作 兼毫5号 墨液:祥碩堂 墨液 良寛 中濃墨
紙: 伊予書道半紙 書道一番  筆:豊橋筆 伝統工芸士 川合福瑞作 兼毫5号 墨液:祥碩堂 墨液 良寛 中濃墨

筆の起源について

筆の起源は非常に古く約4000年前の仰韶文化の時代に遡り、新石器時代末期にも毛筆状の物で書いたと思われる文様があり、筆のような物が存在していたと言われている。また殷の時代(紀元17世紀頃から11世紀半ば)の甲骨片に筆を用いて書かれたと思われる文字が残っている。

現在確認できる最古の筆は戦国時代の楚(そ)の遺跡から発見された「長沙筆」(ちょうさふで)である。竹軸の先に兎の毛を挟み、糸でくくり付けて漆で固めたもの。

秦代(しんだい)(紀元前221〜前202)には蒙恬将軍(もうてんしょうぐん)が穂首に一種ではなく数種の毛を用いて筆作りに数々の改良が施された。

漢代の木簡とともに発見された「居延筆」(きょえんひつ)は紀元前75〜57年頃作られた筆で、筆としてかなり完成しており、現代の筆に近かったようだ。

日本にはいつ伝わったのか

『日本書記』によると飛鳥時代に朝鮮半島の僧が紙と墨を伝えたとあり筆の製法も伝来した。東大寺・正倉院には日本最古の筆である巻筆(まきふで)が伝わっている。

嵯峨天皇の時代に遣唐使として中国に渡った空海が帰国して毛筆の製造技術を坂名井清川(さかないのきよかわ)伝授。出来た筆を嵯峨天皇に献上したと言われている。これが奈良筆の起源で、日本の筆の原点とも言える。

その後時代が下り武士も書道を嗜むようになり筆の需要が高まり、江戸時代には全国に普及する。熊野筆、豊橋筆、川尻筆なども作られるようになった。

この記事の著者

雲岑(Un-shin)

1964年生まれ。学校の習字の時間は苦手だったが、小学生の時分よりくずし字等に興味があった。大学卒業後都内某信用金庫に勤務。令和に入り、写経をきっかけに書道に興味を持ち、コロナ禍の自宅待機の機会に独学で書道に没頭し始め、硯で墨を磨ることが楽しくなる。2023年定年を前にサラリーマン生活に別れを告げ、同年9月より書道用品店を開業する。残りの人生を書道具の販売を通して書道文化の継承発展に寄与したいと考えている。

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