筆はどこで作っている?〜筆の基礎知識②〜 | 文房四宝 雲岑堂

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筆はどこで作っている?〜筆の基礎知識②〜

筆の生産地について

日本における主な筆の生産地をご存知だろうか。最も有名なのは「熊野筆」。2011年女子W杯で優勝したなでしこジャパンに贈られた国民栄誉賞の記念品の化粧筆で一躍有名になった。広島県安芸郡熊野町で生産されている。生産されているのは書筆のほか画筆、化粧筆など多岐にわたる。

同じ広島県の呉市川尻町で作られているのが「川尻筆」。「熊野筆」と合わせると全国のほぼ9割のシェアがあるようだ。「京筆」(きょうひつ)の流れをくむ古くからの「練り混ぜ」技法が主流。

「熊野筆」に次にシェアを持つのが愛知県豊橋市で作られている「豊橋筆」。生産量は「熊野筆」についで全国第2位だが書道家向けの高級筆の生産量は全国の80%を占め年間180万本が全国で販売されている。完全手作業で生産されており、伝統工芸士も13人いる(平成29年9月現在)。

筆とは?〜筆の基礎知識〜の「日本にはいつ伝わったの」の項で触れたが、最も歴史があるのが「奈良筆」である。筆匠が全ての工程を手作業で行い、書道筆に人気がある。

紙: 漢字用純雁皮半紙 飛鳥 100枚  筆:豊橋筆 伝統工芸士 川合福瑞作 兼毫5号 墨液:祥碩堂 墨液 良寛 中濃墨

ほぼこの四大生産地に集約されているが、過去には各地で生産されていて、「仙台筆」「名古屋筆」「博多筆」など有名だったようである。今でも「江戸筆」「運平筆」(うんぺいひつ)「京筆」「有馬筆」が伝統を守っているようだ。「紙巻き(巻筆)」の伝統を滋賀県高島郡安曇川町の「運平筆」は守っているとのことだ。

中国三大筆産地

中国ではもっと大規模で大量生産されている。代表的なのは「湖筆」で有名な浙江省湖州市「上海工芸・善璉湖筆(ぜんれんこひつ)」、浙江省杭州市「邵芝巖(しょうしがん)」、江蘇省「蘇州湖筆(そしゅうこひつ)」である。日本に輸入されている多くがこの3地区からのものである。

この記事の著者

雲岑(Un-shin)

1964年生まれ。学校の習字の時間は苦手だったが、小学生の時分よりくずし字等に興味があった。大学卒業後都内某信用金庫に勤務。令和に入り、写経をきっかけに書道に興味を持ち、コロナ禍の自宅待機の機会に独学で書道に没頭し始め、硯で墨を磨ることが楽しくなる。2023年定年を前にサラリーマン生活に別れを告げ、同年9月より書道用品店を開業する。残りの人生を書道具の販売を通して書道文化の継承発展に寄与したいと考えている。

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