墨とは?〜墨の基礎知識〜 | 文房四宝 雲岑堂

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墨とは?〜墨の基礎知識〜

墨とは?

また例によって白川静『字統』で調べてみる。「墨」は会意形声文字で黒(黑)と土に従う。『説文解字』に「書する墨なり」とあり書写に用いる墨をいう。とある。

また「黒」の項を引くと会意文字で、旧字は黑に作り、柬(かん)と火に従う。柬は嚢(ふくろ)(東)の中にもののある形。下に火を加えてこれを燻蒸(くんじょう)し、黒めて黒の色を取ることを示し、黒色の意。(『説文解字』)とある。

「土」は象形文字で土をまるめて台上に置く形。土主(土地神)の形で、土が社の字の初形。とある。

字の由来から土とすすを混ぜ合わして墨を作ったのであろうか。

紙: 伊予書道半紙 書道一番  筆:豊橋筆 伝統工芸士 川合福瑞作 兼毫5号 墨液:祥碩堂 墨液 万寿 400ml普通濃墨
紙: 伊予書道半紙 書道一番  筆:豊橋筆 伝統工芸士 川合福瑞作 兼毫5号 墨液:祥碩堂 墨液 万寿 400ml普通濃墨
紙: 伊予書道半紙 書道一番  筆:豊橋筆 伝統工芸士 川合福瑞作 兼毫5号 墨液:祥碩堂 墨液 良寛 中濃墨

墨はいつから?

墨という字を見てきたが、実際いつから存在していたのであろうか?墨メーカー「墨運堂」のHP墨の歴史 中国編によると殷・周時代(紀元前1700〜前770)に書かれたと思われる土器や木簡、帛書(布に書かれた書物)などが発掘され、墨の実在は確認できるものの具体的にどのようなものか定かではないとのことである。

漢時代(紀元前206〜後220)には小さな墨丸といわれる球形のものと発掘された硯の形から推測される。原料は宋代の『墨経』(ぼくけい)によると松煙を中心に始まったと推測される。

後漢の時代になると蔡倫によるといわれる紙の発明により文字も大きく書かれ墨丸の墨では間に合わず形も球状から磨りやすい現在の形の基礎ができたと思われる。とのことである。

日本にはいつ伝わったのか

「墨運堂」のHP墨の歴史 日本編によると『日本書記』巻22に「推古天皇の18年春3月高句麗王、僧曇徴よく紙墨をつくる」というのが最も古いものとされている。今日最古の墨として正倉院に中国と朝鮮の墨が保存されている。しかしながら古墳時代の壁画などには墨、朱、緑、黄などがみられることからもっと早い時期から伝わったのではないかとの説もある。推古天皇の時代仏教文化の影響を受け司教などが盛んに行われ輸入だけでは需要に追いつかず製造をするようになったと考えられる。

文武天皇の大宝元年(701年)に制定された大宝令によると中務省の図書寮に造墨手4人を置いたとある。

この記事の著者

雲岑(Un-shin)

1964年生まれ。学校の習字の時間は苦手だったが、小学生の時分よりくずし字等に興味があった。大学卒業後都内某信用金庫に勤務。令和に入り、写経をきっかけに書道に興味を持ち、コロナ禍の自宅待機の機会に独学で書道に没頭し始め、硯で墨を磨ることが楽しくなる。2023年定年を前にサラリーマン生活に別れを告げ、同年9月より書道用品店を開業する。残りの人生を書道具の販売を通して書道文化の継承発展に寄与したいと考えている。

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